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マンションで住まいを「つくる」

cou では戸建住宅の新築、戸建住宅の増改築、中古マンションのリノベーション、店舗設計を軸としてそれに付随する家具等インテリアプロダクトのデザインを行なっています。couのお客様は実際にその物件を使用されるご本人である場合がほとんどですので 基礎から立ち上げる新築の住宅であっても居抜きの店舗であってもあるいはテーブル一つであっても お施主さんのご要望と我々の知恵を掛合わせるために打合せを重ねて「作り上げていく」プロセスを経ています。

戸建住宅は「つくる」のにマンションはなぜ「買う」の?

戸建住宅でも建売住宅や中古の物件など出来上がった状態で購入するケースもありますが マンションにいたっては建設前に別の所に設けられたモデルルームを見学するだけであったり 現地で内覧ができる場合でも内装や間取りが気に入らなくても購入を決断するケースが多いように思います。 建売住宅という選択もあることですし一概には言えませんが マンションは「住む所を買う」というニュアンスが強く それに対して戸建住宅は「住まいを作る」という感覚をもって住宅の取得に臨まれる方が多いのではないでしょうか。

そんな疑問を持ち始めたきっかけは なかなかいい値がしてエントランスなどもゴージャス 加えてちょっとした目玉設備(小さくて息苦しいユニットバスにテレビがついていたり 貸し会議室があったり)が設置されていたりするのに個別の住居の内装がやけに貧弱なマンションが多いので “最近の人はあまり身の回りの物にはこだわらないのかな”と思いきや 調度品や衣類やバッグ、アクセサリーなんかには結構お金と気が遣われていたりする。 それってバランスが悪いな、と思ったことでした。 なんで「買う」対象が「マンション」になると色々なことに無頓着になってしまうのか それがなんだか不思議なのです。

無頓着になってしまうのは

  • ・ とりあえずは住めてしまうこと
  • ・ マンションは間取りを変えたり内装を変えたりしてはいけない(しにくい又はできない)という
     先入観があるのではないか・・・
  • ・ 管理費や修繕積み立て費、駐車場代等々月々支払うべきものがあるために
     所有している感覚が薄いのか・・・

こんな理由があるのではないかと推測しています。

日本では賃貸物件で改装を認めてもらえることはマレですが よその国では割とそのあたりおおらかに許されている例を多く見受けます。 日本では集合住宅とりわけマンションの歴史が短いことや不動産を所有することの観念が強いこともマンションの利用の仕方をまだまだ問うていく余地が多い理由かもしれません。

マンションだって改装できる!
<マンションで個別の嗜好に合った住まい作りの可能性>

改装例

▲図の改装例では 電気給湯器は移動できず 水廻りは移動が可能であった。 改装前は水廻りが南西 (左上) に固められており 一見したところ移動できなさそうに思われるが この物件では水勾配が十分確保できたため 改装後のように北側 (右側) に浴室や洗面台を設置することができた。 

躯体と設備がしっかりしていて住みたい場所にあり管理が行き届いているマンションは「買う」にも「暮らす」にも便利ですし改装をするにしても改装のし甲斐もあります。 (私は個人的にはこの条件に加えてもうひとつ30年以上前に建てられたマンションが特に好きなのですが…。) なんだかんだと言っても外観や設備まで用意されていて買ったら住めるというのはマンションの大きな特典です。 これで個別の住居についてはそれぞれが嗜好に合った住まい作りができたらなおいいのにと思います。 コーポラティブハウスでは手間がかかりすぎてマンションのイージーさはなくなってしまうので現在の一般的なマンションを土台として新築中古を問わずスケルトン販売が選択できるようになればマンションはもっと住みやすくなる・楽しくなるのではないかと思っています。 スケルトンではなく既存の間取りがあって改装したい場合 撤去できる壁や柱、動かせる設備動かせない設備を見極めます。 水周りや設備については動かせないのではないかというイメージが先行しがちですが そのイメージ程設備は固定されているものではない場合が多いものです。 既存の「ガワ」を上手く使いながらそれぞれの嗜好に合った住まい作りができればマンションは戸建住宅の代用品以上の価値を生んでいけるのではないでしょうか。